フリーだからこそ業者さんとの関係が大事になる理由
フリーの自宅教室の先生はマルチな仕事人でもあります。一人でプロモーションをし、時には宣伝のためのコピーライターであり、ブログやホームページのウェブデザイナーをしたかとおもえば、経理や生徒管理の実務もこなし、仕入れに出向き、花材の開梱、仕分け、保管の肉体労働までこなします。
～協会や財団という傘下に属していれば、ＰＲもお任せで、業界情報をもらえたり、心強いかもしれません。でも私はどこにも属していません。入会する必要性を感じないままここまで来てしまったという感じです。
協会ルートの花材購入の義務やレッスン規定の順守が、自由を好む私には窮屈に思えましたし、もちろん安心で便利という考え方もあると思います。ただ協会メンバーの更新料や、生徒さんにかかる協会に支払うマージンを教室花材の充実にあてたいというのが自分の考えでもありました。
フリーの先生は孤立無援をバネにして飛躍する
そんなわけでますます孤立無援、一人でできることはなんでもやりました。でも最新情報の入手というものだけは、自分だけの力ではどうにもなりません。しかしそんな私にも強い味方がいます。それは年来の花材専門卸店の店長、スタッフ、メーカーの営業マン、産地直送の業者さんです。彼らこそ、現物を扱っているわけですから、まさに業界直結、真の情報通集団です。
先方からすれば私は顧客の一人に過ぎませんが、何の後ろ盾のない私にとっては、業者さんこそ信頼のおける私の右腕なのです。彼らなしでは教室が成り立たないわけで、死活問題。単なる消費者ではなく、頼る、聞く、お願いする、参考にするといった関係で、私には仕事上の大事なパートナーであり、ブレーン的存在になっています。自分がお客だと思う感覚もほとんどありません。
プライスレスなサービスを受け取れるかが鍵
世の中では、全般的にお金を払う方が「お客様」なので立場は売り手より上位です。対価に見合った品物を受け取れるものですね。ですが、物は受け取れても、情報や対応は微妙なものなのです。まさにそこはプライスレス。
どんなに私たちがお金を払っても、それらを受け取れるかどうかは相手次第なのです。ここからがフリーの先生にはとても重要です。普段の暮らしにも、情報と対応がプライスレスという場面はたくさんあります。
例を挙げます。例えばお盆の時期、あなたが沖縄ツアーを旅行代理店で申し込んだとします。ところが、結果は満席。繁忙期はお客にはことかかず、在庫がありませんと言って、フェイドアウトする旅行代理店はいくらでもあるでしょう。それでもあなたの担当の方が、数日ねばって飛行機の空席が見つかりましたよ！ といって明るい声で電話をかけてきてくれた、とっても嬉しいですよね。
それが先方独自の情報であり、自分のために労力を使ってくれた対応なのです。この部分は私はプライスレスだと思うのです。そんな時のあなたはきっと、「ありがとう！」と心から言っているはずです。大切な人との旅行ならなおさらでしょう。
プライスレスな対応と情報を望むなら、あまりにもお客様然としていては先方だって心を開きません。そこは人情の世界であり立場は同等ですね。だから本当の絆や信頼が育まれます。してもらった対応が嬉しくなります。
あなたが通う仕入店のスタッフももちろん同じです。
私は店頭で次月のアレンジのサンプリングをして、この花材を使いたい！ と思ったとき、「在庫と聞きます。あいにく在庫がなかったとして……店員さんによって、帰ってくる答えは様々です。
マニュアル通りに「ありません」で終わってしまう方。
「いついつ頃に入ってきます、予約しますか？」と先回りしてくれる方。
「同じような花材で、こんなのがありますよ」と提案してくれる方。
裏ワザを使って「～部が持っているかもしれないので、問い合わせてみますね」と言って下さる方。
これらの回答から、わかっていただけるかと思いますが、その対応次第で、いくらでも、いかようにも、私たちの教室運営状態は影響を受けてしまいます。対応次第で、作品の構成が変わってしまうこともあるのです。教室の舵取りが業者に委ねられているといっても過言ではありません。
頼りになるスタッフさんは心のよりどころ
有利な情報を聞けたり、融通してもらったり、様々な局面で困ったことが回避できたとき、あなたにとって、その人はもう単なるレジのスタッフではありません。「よかったぁ～！ 助かりました！ ありがとう！」と心から気持ちを伝えましょう。この人は仕事において信頼できるあなたの右腕なのです。
どうですか？ こんな心強いブレーンがたくさんいるお店に訪れるとしたら、とても温かい気持ちになりますし、一緒に教室を運営してもらっているような気持ちになれるはずです。
個人運営は、時には孤独を感じることもあります。様々な気遣いも多い中、業者さんとの良い関係は、心のコンディションにとってもベストです。仕事抜きにしても、シンプルに親切なスタッフさんの対応は嬉しいものです。
間違いや失敗は誰にでもある肝心なのはフォローの仕方
もちろん長いお付き合いのうちには、順風満帆な時ばかりではありません。時には先方に大きなミスがあったこともあります。あったはずの在庫がなく、もう目の前が真っ白になり、翌週の数十名分のすべてのアレンジが全く違うものに組み換えになる騒ぎでした。
でも急務なのは、まず生徒さんにご迷惑がかかることを最小限にすること。私も大慌てですが、先方を責めるより、「とにかく、なんとか、力を貸してください」ということにつきます。ミスは起こってしまっても、先方の対応が誠心誠意、全力であるなら、それは私から生徒さんへ伝えることができます。ダメージがあったとしても、最小限に抑えられます。
そのときは、業者さんから謝罪文を発行していただき、生徒さんには新作のアレンジを楽しんでいただくことができました。
あるいは、こんなこともありました。出荷指示されていなかったため商品が入っておらず、それに気づいたのが週末。休日の業者さんとは連絡が取れず、月曜の生徒さんには、平身低頭で仕方なく日程変更をお願いしたこともありました。
あらためてレッスンを取り直していただき、業者の協力もあり、ご迷惑をおかけした分は対応させていただきました。
誠意ある対応の中から育まれる関係が確かにある
人はいろいろなことがあっても、目の前で誠意を持って謝罪し、全力で対応してくれるなら、もはやそれを責める気持ちにはなれません。それはすべての人にあてはまるのではないでしょうか。
問題が発生したとしても、業者さんが迅速かつ誠意ある対応をしてくれるところなら、担当者はほっと胸をなでおろすことができます。面倒なトラブルも対応次第で、結果良い関係を育む布石にもなります。私はそんなことを、実際に幾度も体験してきましたし、教えてもらってきました。お陰様で業者さんとはピンチを実りのあるものに、一緒に転じさせてきた感があります。
業者さんと仲良くなる具体的な方法
一人でがんばる自宅教室の先生は、ぜひ、業者さんとこのような関係をめざしてください。心強いブレーンです。もちろん、このような人間関係は一朝一夕にできるものではありませんが、今日から育むことができます。まず、良い関係づくりの最初のステップは、あなたがレジの対応で、印象の良い店員さんの顏と名前を覚えることからはじめましょう。
電話をするときも、できればその方を指名するのです。店内で見かけたらこちらから挨拶や声をかけましょう。自分の名前を憶えてもらい、声をかけられて嬉しくない人はいません。そんな雰囲気で接してくるあなたの期待に応えようと思ってくれます。人情に理屈はいりませんね。
材料の仕入れは教室運営者にとって聖域ともいえる作業。フリーの先生はぜひ、業者さんに頼って、仲良くなって、どんどん聞き、お願いしましょう。媚びるのではなくて、教室の仕事を一緒にする私の右腕、大事なスタッフ。いつもそんなイメージで業者さんに訪れること。それは長いお付き合いの中で先方に通じます。プライスレスな特別な情報や対応をあなたはきっと受け取れるはずです。業者さんと信頼関係をご自身の教室に上手に生かしていきましょう！
さらに先生にとって、必要不可欠な 業者さんでの、花材やアイテムの取り置きシステム、確保システムの恩恵の受け方、昨今の事情とあわせて、くわしくセミナーや著書でお伝えしています。
