私は現在まで10年以上、アートコラボレーションという、様々な手作りアーティストが集う作品展示会の主催をしています。フラワーアレンジ、トールペイント、カルトナージュ、ビーズアクセサリーにところ狭しと手作りの作品が飾られ、スポットが当たる光景はそれは素晴らしいものです。
売れるかどうかは色次第
どれも作品として優れたものですが、売れるかどうかとなるとテーブルごとに差があるのも事実です。また私の作品もすぐ売れるものとそうでないものがあります。その違いは何か。デザインだとか、作風だとか、いろいろ根拠はあると思いますが、もっともキメテとなるのは色使いの差です。世界を白黒にしたとき、同じアート分野であれば形状に大差はありません。ほぼ共通です。違うのは色の組み合わせ、配色です。その違いで選ばれているといっても過言ではないでしょう。
色は音楽に似ている
色使いは音楽に似ています。単音のメロディーでもその強弱によって、曲の印象が変わりますし、和音であればなおさら、その組み合わせによって、メジャーにもマイナーにもなります。作品の色合わせは目で見る音楽といってもいいでしょう。心地良い色合わせ、キュートな色合わせ、刺激的な色合わせ、心に響くものは多種多様です。音色という言葉があるように、音楽と色はどこか共通しているものがあるのかもしれません。
音にも波長があるように、色は可視光線の波長を持っています。強弱や組み合わせで見る人の心にハーモニーを伝えているのではないでしょうか。
つまり、作品のフォルムやシルエット、仕上がりも非常に大切ですが、何よりその色使いがキメテ。ここがNGではもともこもないということになります。そんな大事な色使いをどうやったら獲得できるのか? どんな風に訓練したらいいのか? それはネットの画像をフルに使うことをお薦めします。
例えば「ピンクの花束」で検索するとたくさんの画像を見ることができます。あるいは「大人の赤のドレス」「パステルなバッグ」など。ずらりと並ぶ画面には、いずれもあなたの目で見て、これはいまいち、これはステキ! という画像が必ずあるはずです。いいなと思った画像を保存して、ときどき大きな画面で見返しましょう。目から入った情報は目が覚えています。
心地良い色を集めよう
あなたがレッスンで使う教室の素材を買い出しに行くとき、あなたが見て心地良かった画像は、頭のどこかに残っています。ここで大事なのはその色使いと全く同じにするというより、見て心地良かった感覚を思い出すことなのです。
今あなたが手にしている色の組み合わせは、そんな心地になるかどうか、再び目を落としてみます。あの画像のような心地になれるかな? うっとりした同じ気持ちになるかな? と。
自分で選んだものはどうしても自己中心的、ひいきしてしまいがちです。そんなときも、一呼吸おいてみましょう。
これがネットにあったら、わざわざクリックして「画像を保存する」を押すだろうか? と。そうすることで客観的な色選びができるようになります。
ネットの画像ストックは、あなたがいい! と思って選んだコレクションなので、個性が反映される上、あなた自身が眺めるたびにうっとり癒されます。さらには「私なら、さらにこうする!」「こんな色も足したら?」と、新しい発想のヒントにもつながります。あなたが選ぶステキ画像のストックは楽しくて良いことずくめ、ぜひ、やってみてくださいね!
実は、私自身もそんな訓練をしながら、この色合わせは心地良い気持ちになれるかな? とイメージしつつ、花材を選び、リースを制作、コンテストに応募したところ、なんと結果はグランプリをいただきました。
コンテストは一部のデザイナー審査委員によるものではなく、一般のお客様からの投票で決まるものでした。リースから発信されるグラディエーションが一般の方に好評で、票が集まったようです。心地良い色合わせというのは、万人に共通な部分があることを感じました。
ポイントはグラディエーションと白・くすみ色の効果
人はたくさんの色を一度に見るときに、無意識にグラディエーションの部分で揺らぎを感じ、一呼吸おいて、自分の間で色を楽しむ心地良さを知ります。
アレンジの中に、作品の中に、ひとつはそんなグラディエーションを持つ素材を入れてみましょう。グラディエーションがなければ、少量使いの「白」にも同じ効果があります。
さらにくすんだ色をいれることで、作品に深みが増します。そんな魔法のような色の組み合わせを、あなたの手から生み出せるというのは、ハンドメイド教室ならではの大きな魅力と面白さです。
生徒さんはあなたの手から生まれるその作品に集まってきます。
あなたの「色」で作品を発表しましょう。